ストーマ周囲のスキンケアの重要性 - 皮膚の構造とはたらき
皮膚は最前線で体を守っている、いわば器官の精鋭部隊です。ここでは、ストーマ周囲のスキンケアの重要性および皮膚の構造とはたらきについてご説明します。
ストーマ周囲の皮膚を健康に。
皮膚の構造とはたらきを知ることは、ストーマ周囲の皮膚の健康の重要性を理解することにつながります。皮膚が体を守るしくみや、健康な肌の基準となるpH レベルなど、皮膚の健康の重要性についてご紹介します。
知っていますか? 皮膚の役割
皮膚は体の最大の器官であり、26 ~ 42 日ごとに生まれ変わります。これは、とても大切な機能であり、皮膚には多くの役割があるのです。
- 細菌や他の病原体などの外部の要素に対する保護バリアとして機能する
- 血流および体温を調節する
- 知覚機能がある
- ビタミン D を合成する
皮膚の構造
皮膚の一番外側の目に見える部分を表皮といい、表皮は5 つの層から成っています。他の部位と比較すると、薄くて強度があります。表皮は主にケラチノサイトと呼ばれる細胞で構成されており、この細胞は最下層で形成されます。最下層で新しいケラチノサイトの細胞が生まれると、古い細胞は表皮の最上位層(表面)へ向かって押し上げられていきます。この最上位層を角質層といいます。
角質層の構造は、「れんが」と「セメント」に例えるとわかりやすいかもしれません。成熟した細胞は皮膚に強度を与える「れんが」です。細胞同士を結合させて「セメント」の役割を果たすのは、細胞間脂質と呼ばれる物質で、この細胞間脂質にはセラミドが含まれています。
セラミドの重要性
角質層を健康な状態に整えることは、皮膚のバリア機能の維持や、余分な水分の蒸散を防いで皮膚のうるおいを保つのに不可欠です。健康な肌にはセラミドが豊富に存在しますが、セラミドの減少は乾燥肌、接触皮膚炎、乾癬などの皮膚疾患につながります。セラミドが不足すると、皮膚がなストーマ周囲皮膚の合併症 (PSC) になりやすくなります。これには、過度の水分による皮膚の合併症や、皮膚保護剤などのストーマ製品での医療用粘着剤の使用に起因する皮膚の合併症があります。
保湿剤の使用は皮膚の水分補給や、皮膚のpH レベルを適切な状態に保つ手助けをします。セラミドを配合したストーマ皮膚保護剤製品は、炎症予防に役立ちます。
皮膚と pH レベル
感染症に対するリスクや、環境ストレスの低減を考える上で、皮膚のpH レベルを知っておくことは重要です。
健康な皮膚は弱酸性であり、 pH レベルの平均値は 4.0 〜 6.0 の範囲です。このような皮膚環境は酸外套として知られます。
酸外套は皮膚の保護バリア機能をサポートします。pH が乱れると酸外套が壊れる可能性があり、そうなると皮膚が刺激や損傷を受けやすくなって皮膚の自己防衛能力が低下します。
ストーマ周囲の皮膚の合併症 (PSC)
ストーマ周囲の皮膚の合併症には軽度、中度、重度があります。軽度の場合、皮膚は無傷ですが発赤、そう痒、または不快感がみられることがあります。重度の場合、皮膚は創傷し、湿潤、潰瘍、痛み、出血の可能性があります。ストーマ周囲の皮膚の合併症は、生活の質などにマイナスの影響を及ぼす可能性がありますが、簡単なスキンケアで予防できることもあります。
皮膚はあなたの体を守っている大切な器官です。皮膚の構造とはたらきを知って、ストーマ周囲の皮膚の保護やスキンケアの重要性について、より身近に感じることができたと思います。ストーマ周囲の皮膚の健康のため、日頃からていねいなケアを心がけましょう。